“Guilty”が好きだ。
とにかく切ない。切なすぎる。
ゴダイゴの中で、1、2を争うくらい、好きな曲だ。
作詞・作曲
“Guilty”の作詞はTommyとW. Williams(=ジョニー野村氏)。作曲は、めずらしくミッキーでもタケでもない。野中三朗氏だ。ちなみに野中氏は、”I Can’t Let Go”の作詞(Tommyと共作)・作曲者としてもクレジットされている。
ミッキーのオフィシャルサイトによれば、ミッキーと野中氏の関係は1965年に遡る。ミッキーの初仕事が、「ギタリスト野中三朗」氏と組んだバンドだった。【2011/10/18追記】野中氏は「ミッキーの中学時代からの親友」(「ルポ・ミッキーの音楽工房 野中スタジオを訪ねて」『Walk On 35号』1983.2.25-4.24)
なるほど、野中氏とミッキーはそんなに昔からの知り合いだったのか。あれっ、ミッキーこの時14歳? いや、誕生日が1951年12月13日だから、13歳かも!! やっぱすごいな、ミッキー。
野中氏は、ゴダイゴが使っていたスタジオのオーナー。そして、タケが駐車場で頭に怪我をして、あやうく病院で髪の毛を切られそうになった「血だ!」(『タッタ君現わる』 pp.84-88)のエピソードで登場する「ノナカ君」と同じ人物だ。
なぜタケは野中氏を「くん」付けで呼んでいるのだろうか。ミッキーが13歳/14歳の時に、バンドを組んだ野中氏は、少なくともタケの一歳上のミッキーと同年齢か年上だろうと思うのだが。おまけにスタジオのオーナーだし。
普通、そういう場合は「さん」だろう。
まぁ、それくらい仲が良かったってことだろうな。
不道徳な歌詞
それはさておき。
これは筆者だけが感じていることかもしれないが、ゴダイゴって、曲によっては、内容があまりにも道徳的すぎたり寓話的すぎたりで、遠く感じてしまう時がある。音楽がではなくて、歌詞が。
その点”Guilty”は、ゴダイゴの曲とは思えないほど感情の深淵部にグサッと突き刺さる。
筆者はもはやパブロフの犬状態で、“Guilty”のイントロだけで胸がギュゥゥッって痛くなる。
満月の夜、
部屋の灯りを消して、月明かりを浴びながら“Guilty”を聴く-。
目を閉じて、青白く輝く月に尋ねる
僕が何をした?
どんな罪を犯したの?
側にいたい
そう思うだけで、罪の意識に苛まれる
だけど愛することが罪なら
僕にできることは何もない
君だけを愛したい
それが僕の罪なのだから
少しでいい、僕を見て
月の光の中で“Guilty”を聴いていると、意味なく涙があふれる時がある。
“Guilty”は不思議な曲だ。純粋に叶わぬ恋を歌っているようにも聞こえるし、聴き方によっては不倫がテーマにも聞こえる。
それか、振られたのにもかかわらず、諦めきれずにすがりついている話かも。または、ストーカーが、「オレにチャンスをくれーっ!」って、暗がりから手を伸ばしながら懇願しているのかもしれない。
いかようにも想像することが可能だ。
“Guilty”は、ライブで何度か聴いたことがあって、ものすごくいい曲だと思っていた。しかし、ずっとアルバムに収録されなかったことが、残念だった。もしかしたらこの不道徳な感じがゴダイゴのコンセプトに合わなかったのかな。
そして、アルバムFLOWERで-。
♪Alone in the night…♪
メロディに聞き覚えが……。
で、サビで確信に変わった。
あっ、この曲だ!!
何語?
そして喜びは約二分後に戸惑いへ変化する。
♪Ne quitte pas…♪
えっ……。
……何語……?
分かんないよ~。
歌詞カードで……、えーと……、
♪ね・くいって・ぱす……♪
ムリムリ。歌えない……orz。
フランス語って……、そんなご無体な……。
当時筆者が知っていたフランス語といえば、パン屋で覚えた「クロワッサン(三日月型のパン)」、ケーキ屋で覚えた「ガトー・ショコラ(チョコレート・ケーキ)」、『ベルばら』で覚えた「シトワイヤン(市民)」くらいしかない。とにかく全部合わせても5個にも満たない。一人称の「私」すらフランス語でどう言うのかも知らなかった。
歌えないよ……“Guilty”。
歌いたいよ……“Guilty”。
だって、大好きなんだもん。
“Guilty”を歌いたいがために、大学の第二外国語はフランス語を選んだ。
フランス語は難しい。タケも「宿敵フランス語」と言っているので、苦労したんだと思う(『タッタ君現わる』p.103)。
筆者はあまりの難しさに、激しく落ちこぼれていたけれど、なんとか単位はきた。
そして少なくとも、“Guilty”フランス語パートの単語の読み方と文法構造の謎を解明した。
歌おう!
ヨシ、歌うぞ!
歌おう、“Guilty”!!
フランス語の部分を無理矢理カタカナで書いてみよう。(参考『プチ・ロワイヤル仏和辞典』電子版)
ヌ ジュエ パ アヴェク モン クール
プール アヴォワール シ スヴァン ドルミ
アヴェク マ ソリテュード
ジャンタン オ ロワン ドゥ ラ ミュズィ~ック
キ アンシャントゥ ラ ニュイ ノワ~ル
トゥジュール スュル ル リ
カン ジュ パンス ア ノートル アムール♪
おっと、気付いてしまった……。
下から二行目、♪sur le lit♪(on the bed = ベッドの上で)の定冠詞“le”(ル)が、“la”(ラ)に聞こえる。
“lit”(bed)は男性名詞だから、歌詞カード通り、定冠詞は“le”(ル)でなければならない。
“la”は"musique"(音楽)のような女性名詞につく定冠詞。
でも不思議だ。フランス語で歌えるようになると、『旧BOX』の全英語版に違和感を持ってしまう。「慣れ」かもしれない。
今なら、フランス語にした感性が少しは分かるような気がする。
だけど、ほとんどの日本人には、このフランス語パートは受け入れられにくいんじゃないかな。
ゴダイゴファンでいると、結構、手間ヒマかかることがある。
2011/10/14追記
“Guilty”フランス語詞の構造が気になる方は、「“Guilty”解読のためのフラ語講座」をどうぞ。
コメント
Yumiさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
そうなんです!
“Guilty”切ないです。胸キュンです。名曲です。
私はもう何百回聴いたか分かりませんが、全然慣れません。(笑)
はじめまして。
とあるメンバー専用掲示板から来ました。
同感です!
切ない!切ないんですよ!Guilty
アルバムバージョンのハスキーなタケの声が
またもうなんとも言えない…
ホントに胸がキュンとなります。
同じように感じていた人がいて、
うれしくてつい書き込んでしまいました^^;
青空さん
コメント&励ましありがとうございます。
“Guilty”は、視線が人間の内側に向かっていて、心を打ちます。
曲調と歌詞の内容が合っていて、素敵ですね。
FLOWERを<強引に>貸したお友達の行動、正しいです。(笑)
Bluebellさん
コメントありがとうございます。
確かにジョニーさんは、タケをうまくコントロールできていたと思います。
タケは少し窮屈な環境にいる方が力を発揮すると思うのは、私だけでしょうか。
ご無沙汰しておりました、青空です。
ワクワクずっと読んでましたよ。
私もGuilty、大好きです。
FLOWER発売当時はもうゴダイゴを買っていなかったのですが、友達が強引に貸してくれて、返す時に「Guiltyがよかった!!!」と言った記憶が。
後にCD文庫でゴダイゴがたくさん売られているのを見つけたとき真っ先に買ったのはFLOWERでした。
レコードで持っていなかったというのもあるのですが、とにかく無性に
「Guiltyが聴きたい!!!」これにつきました。
悲恋が全然似合わないタケが歌っても、なぜか違和感がなく不思議・・・。
フランス語はよくわからなかったけれどムード満点だし、英語詞がFLOWERの他の曲(ジョニーさんの詞、難解!)よりはずっとわかりやすかったので、プラマイゼロくらいで受け入れられました(笑)
Tiaraさん、お忙しいそうで、お仕事頑張ってくださいね^^
2006年だったかの韓国語の新曲も、同じ内容の歌なのでしょうが、ジョニー野村さんがプロデュースしておられた頃のゴダイゴの作品は、センスが良くて素敵でしたよね。