『キタキツネ物語 ALTERNATE SOUND TRACKS+タケカワユキヒデ ホームレコーディングデモin1978』
前回の分を読み返してみたら、前回は『キタキツネ物語』disc 1とDENON Liveの事だけで、disc 2の『キタキツネ デモ』の話をほとんどしないで終わってしまった。
今回はちゃんと書こう。
テーマは“Time for You to Go”(「囁き」)。
“Time for You to Go”
“Time for You to Go”は、レイラが子どもたちに歌う曲。
生命が尽きつつある彼女が、子どもたちに旅立ちを促し、母としての深い想いを語る。
タケの歌もピアノも素敵。
それにもかかわらず、ここでは曲以外にちゃんと耳を傾けてみる。
これが「ちゃんと」かどうかはさておき。
この曲は非常に有機的だ。
ナンの音?
聴くとすぐ気づくが、スタジオで録音された公式版では絶対にあり得ない「軋み音」が入っている。
筆者のこの曲の萌えポイントはズバリこの「軋み」。なぜか他の曲では全く気にならないのに、この曲だけ「軋み」が目立つ。
何かが……、
タケの歌とピアノに寄り添うように、木でできた何かが軋んでいる。
「ギィィッ……、ギィィッ……」
椅子……?
だとすれば、タケが座っている椅子かもしれない……。うん、そうだ、そういうことにしよう。タケが座っている椅子が軋んでいる。間違いない。(こういうときは事実より思い込みの方が大事だ)
目を閉じて聴いてみる。
音符をかいくぐって、軋みが浮かんでくる。
「ギィィッ……、ギィィッ……」
ううっ、なんという臨場感!o_ _)ノ彡☆ばんばん!!
この不規則な音は、タケの気配を醸し出す。まるでタケが目の前で歌っているようだ。それも自分だけのために!
ああ、1978年に生きるタケが、今、そこで、動いている!!
もっ、萌え~。
(たぶん、この文脈での使い方で合っていると思う)
ファルセットと軋みと
“Time for You to Go”は、『タケデモ06』にも収録されていて、このバージョンでは、タケはファルセットで歌っている。軋み加減を比較するのもいい。(え、そこ?)
『タケデモ』シリーズは、ホームレコーディングならではのオマケがついてくることがある。(ボーナストラックのことではなくて。)
たとえば前回扱った“Laughing in the Sunshine”では、エンディングで秒針が進むような「カチカチ」という音が残る。メトロノームでもないし、何かの音響効果であるはずもない。スタジオ録音なら絶対にあり得ないノイズだろう。
しかしデモ版なら許される。音源を推測するのも楽しい。もし時計だとしたら、どんなデザインの時計なのかな、なーんて。
カチカチ…とギィィッ…と
そういえば、この夏休みの帰省で実家にまだビデオデッキがあることを知って、物置から引っ張り出し、ホコリまみれで配線を施して、ビデオ版『マジック・カプセル』を超、超、超~久しぶりに見た。
そこにタケが1人でピアノを弾きながら作曲をしている場面がある。
ピアノが壁に向かって置かれているのだが、その壁に振り子時計が掛かっている。
あれがタケの自宅かどうかは知らないが、もしかしてあの時計の音かな、と想像したりした。
とはいえ、この「カチカチ」音はどうも無機的でつまらない。
一方“Time for You to Go”の軋みは、タケの身体の動きと直結している。つまり、椅子が軋むということは、ピアノを弾いているタケが、姿勢や重心を変えているということだ。
軋みは、タケが「今、そこにいる」という「存在」を示す。だからテンションがあがる。
この軋みは、1978年へのタイムスリップに誘う。
「ギィィッ……、ギィィッ……」
おうっっ……、
今、
そこに、
25歳/26歳のタケがぁぁぁ……っっっ!!!
o_ _)ノ彡☆ばんばん!!
“Time for You to Go”の軋みに、激萌え。
σ(。・・。)?……え、もはやキモヲタ?
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