デジリマの恩恵?

SplitShire / Pixabay

“Havoc in Heaven”

『新BOX』で「音がいい! さすが最新デジタルリマスター!」と、実感したのは『西遊記』。特にこの曲、“Havoc in Heaven”。

その理由は1970年代に遡る。
当時、我が家で使っていたステレオが、めちゃくちゃ古い代物だった。親戚がステレオを買い換えるというので、家族がもらってきたもの。その時点で結構古かったんだと思う。

そのステレオが我が家に初めて設置されたステレオだったので、音質の善し悪しなんて分からなかった。だって、それでしか音楽を聴いたことがなかったから。
今思えば、あまり良くなかったんだろうな。

最初にちょっと違うと思ったのは、ヘッドフォンを使った時だった。夜もゴダイゴを聴きたいがために、親に頼みこんで買ってもらったのだ。

あれ、左右から別々の音が出てる……。

そう、多分、我が家のステレオはスピーカーで聴くと、モノラルになっていたんだと思う。おまけにヘッドフォン端子の接触不良で、ヘッドフォンで聴いても時々モノラルになったりステレオになったりと、何だか不安定。

だからと言って、新しいステレオを買うような余裕のある家でもなかったし。まぁ、それでも、ヘッドフォン端子に負担をかけないようになるべく体勢を変えなければ、わりとステレオ音質を維持できることもあった。

ゴダイゴを聴き始めたのは、こういう音響的には、あまり良くない環境だった。だけどゴダイゴが聴けて、すごく、すごーく嬉しかった。

で、普通に“Monkey Magic”とか“Gandhara”とか聴いたり、歌ったりするんだけど、当時は中学生だから英語なんかほとんど分からない。それでも、一緒に歌おうとがんばってた。

そんな中、とにかく『西遊記』で、一番困ったのが“Havoc in Heaven”。

「英語耳」という耳が本当にあるのか知らないが、少なくとも中学生のヒアリングなんてたかが知れてる。おまけにステレオの性能があまり良くない。

とにかく、絶対に、絶対に、絶対に、“Havoc in Heaven”に聞こえない。

あの繰り返しのところ。
何度聴き直しても、「はぼけばっ! はぼけばっ!」

♪Havoc in heave~n
はぼけばっ! はぼけばっ!

「英語口」という口が本当にあるのか知らないが、少なくとも中学生の発音なんてたかが知れてる。

♪Havoc in heave~n
はぼけばっ! はぼけばっ!

もう、聞き取れないわ、歌えないわで、すごいヘコんだ。歌詞カードさえ疑った。本当にそんなこと言ってるのか、と……。

そして時は過ぎて……、『新BOX』で『西遊記』を聴く-。

CD文庫は持ってたけど、今年の5月頃(『新BOX』を買う前)に久々に全曲聴こうと思ったら、まだ透明のフィルムが掛かったままだった。あの赤い細いテープもついたまま。つまり未開封。

うーん、いつ買ったんだっけ……。何年聴いてなかったんだろう……。
まぁ、Amazonで売って、その資金を足して『新BOX』を買おうと考えて、そのまま棚に戻した。
(実は、結局別れが惜しくて売るのをやめて、『新BOX』を買ってしまった。だから、まだ手元にある。絶対手放さないと誓った。 だってゴダイゴのアルバム、やっぱ大切なんだ。誓いの印として開封した。)

『旧BOX』には、この曲は入ってない。だから、『新BOX』でこの曲を聴くのは、超、超、超~久しぶり。

♪Havoc in heave~n
Havoc in heaven, havoc in heaven...

おーっ! 言ってる! 間違いない!
聞こえる、聞こえるではないか! わーっはっは……。
やっぱり歌詞カードは正しかったんだ! (あたり前田のクラッカー。って古っ……)

機材の問題なのか、CDだからなのか、デジタルリマスターのおかげなのか、それとも英語耳になったのか、理由は定かではない。
だけど、とにかくちゃんと聞こえる。“heaven”の、“-ven”まで、“-n”まで、クッキリ聞こえる! やったー!
テクノロジーってありがたいなぁ~。(涙)

実はこの曲、日本語版があるらしい。
題して「20億年の暗闇」。

「らしい」というのは、聴いたことがないから。しかし歌詞を見る限り、やっぱりそうなのかな。でも、何度歌っても曲に合わないんだよな~……。作詞のクレジットが奈良橋氏だけなんだけど、もしかして……。

それはさておき。

「20億年の暗闇」は、『西遊記2』からのシングル「SONGOKU」のB面。アルバム『二十三夜 堺正章コレクション』(廃盤)の13曲目に収録。(CD Journal.com
YouTubeにはアップされてないみたい。見つけた方がいらしたら、是非おしえてください。

あー、“Havoc in Heaven”でこんなに書くなんて……。
でも、もう一つだけ。

“Havoc in Heaven”は、1960年代に中国で作られたアニメーション映画のタイトルでもある。原作はやはり『西遊記』。
中国語の原題は「大闹天宫(Dà nào tiān gōng/ ダァ ナオ ティェン ゴン)」(1961年、1964年)、監督は万籁鸣(ワン・ライミン)。

日本語だと……、なんだろう……、えーと、「大騒動 in 天上界」って感じかな。
ちょっとWikipediaの「西遊記」を見てみよう。

「大鬧天宮 (だいどうてんぐう) -孫悟空大いに天宮をさわがす-」

なるほどね。(「なんで中国語と日本語で漢字がちょっと違うの?」と思った方は鋭い。すごーくお時間のある方は「后醍醐」の回で軽く書いていますので、ご興味があったらどうぞ。)

で、このアニメの英語のタイトルが“Havoc in Heaven”、または“Uproar in Heaven”。
中国では、このタイトル「大闹天宫(ダァ ナオ ティェン ゴン)」が、何か混乱を起こす人を言い表すときの口語になったとか。(Wikipedia 英語版

1960年代の作品とは思えない!

「大闹天宫/Havoc in Heaven」というフレーズは、Ctrl+Fで検索しただけだけど/(^^;)、呉承恩の原作や英訳では第39章の本文で出てくる。でも、どうも章題にはなっていないみたい。

これは推測だけど、ドラマ「西遊記」の歌詞を書くにあたり、資料を探す段階で、ジョニー氏か奈良橋氏か誰か分からないけど、このアニメに行き着いたか、“Havoc in Heaven”というフレーズを知ったんじゃないかな。
それか、もともと知ってたのかも。

“Havoc in heaven”、意外と深かった……。

以下は自分のための資料。 (Wikipedia, "Journey to the West"

『西游记』
  Xī Yóu Jì/ "Journey to the West"/ Monkey

玄奘 (浅野孝已) Xuánzàng/ 弟子からは"master"と呼ばれる。(オビ・ワンみたいだ)
孫悟空 (Tommy Snyder) Sūn Wùkōng/ the Monkey King/ Monkey
猪八戒 (ミッキー吉野) Zhū Bājiè/ Zhu Wuneng/Pigsy/ Pig
沙悟浄 (タケカワユキヒデ) Shā Wùjìng/ Sand/ Sandy
妖怪 (Steve Fox) Dragons and Demons

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ゴダイゴ
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