浅野孝已・ミッキー吉野編著『浅野孝已&ミッキー吉野・シングルレコードジャケット100選 僕らのルーツはこれだ!』鹿砦社、2012年 (ISBN 978-4-8463-0853-7)
ちょっと油断していたら
2012年2月20日(月)、ちょっと油断していたスキに出版されていたのが上記の書籍。せめて発売日前日にでも、オフィシャルでつぶやいてほしかった。もしかしてオフィシャルが把握してない仕事だったのか、それとも出版社に固く口止めされていたのだろうか。(笑)
さて、少々遅れたけれど、この本が手に入ったので、今回は簡単に紹介と感想を。
この本にはミッキーとアサノさんがそれぞれ選んだEP盤各50枚のジャケットの原寸大写真と、二人による解説がEP盤一枚につき一ページを割いて掲載されている。
内容がどうこう言う前に、正直、タイトル(含サブタイトル/キャッチコピー)が紛らわしい。
出版社の鹿砦社(ろくさいしゃ)、Amazon、本体表紙、奥付で微妙に違っている。比較してみよう。
出版社の紹介ページ:
『『僕らのルーツはこれだ!!』GS・ゴールデンカップスからゴダイゴ』
本体表紙
『GODIEGO Mickey Yoshino / Takami Asano Record Collection 100』(筆者注:「ミッキー」のスペルって、かつて“Mickey”にしたこともあったけど、また”Mickie”に戻したんじゃなかったっけ……。現在の正しいスペルをご存知の方はおしえてください。ちなみにミッキーのオフィシャルHPでは”Mickie”)
本体帯と奥付
左側ロゴ内「GS・ゴールデンカップスからゴダイゴまで 浅野孝已 ミッキー吉野 ゴダイゴのDNA レコードジャケット100選」
右側文字 「GS・ゴールデンカップス・エム・ゴダイゴ 僕らのルーツはこれだ! レコードジャケット100選」
奥付:『浅野孝已&ミッキー吉野・シングルレコードジャケット100選 僕らのルーツはこれだ!』
奥付が正式タイトルなのだろう。しかし一般的に目に触れる場所に書かれているタイトル(含サブタイトル/キャッチコピー)から、<ゴダイゴの>ジャケットが扱われているかもしれないと期待しても仕方がない。率直に言って、出版社がGS・ゴールデンカップス・エム・ゴダイゴファンの購買意欲を刺激しようとしているのは明らかだ。
期待とガッカリと
筆者は、タイトル情報と出版社の新刊紹介ページから「GS・ゴールデンカップス・エム・ゴダイゴ」のジャケットも、すべてではないにせよ代表的な作品くらいは含まれているのかなと期待した。そして本書を入手後、まずゴダイゴのジャケットが扱われているのかをざっと確認した。
結論を言えば、本書には「GS・ゴールデンカップス・エム・ゴダイゴ」のジャケットは一枚も掲載されていない。もちろん、ミッキーやアサノさんが書いている「まえがき」や「あとがき」、そして各曲の解説の中でゴダイゴに数行触れていることもあるけれど、<ゴダイゴの>ジャケットについては一言もない。
機嫌が悪い時なら、「ゴダイゴのジャケットが一枚もないっ! (#`Д´)ノノ┻┻;」と、暴れているところだ。(笑)
しかしながら、耳馴染みのある洋楽についてのミッキーとアサノさんの解説や思い出話は、結構面白い。たとえば、ヴァン・ヘイレンの“Jump”とミッキーの苦い思い出とか(p.19)、ゴダイゴが求めていた明るさやポップさは、どういうものか(p.20)とか、ミッキーとアニマルズとフェンダーローズの関わり(p.38)等々。多くのエピソードで感心したり、ニヤニヤしながら読んだ。
アサノセレクションのページでも、アサノさんが「タメ」を学んだ曲とか(p.72)、エフェクターとの出会いのキッカケとなった曲とか(p.74)、コード進行も部分的に書かれていたりする(p.80など)。ギタリストの方々には興味深いのではないだろうか。
タカミ~ッ!
突然ミーハーな事を言えば、アサノさんの「あとがき」のページに掲載されている若きアサノさんの写真がめちゃくちゃステキっっっ!!! 片肩丸出し衣装に、太いチョーカー(首にぴったり巻く帯状のやつ)が、ロック感大全開。チャコヘル以前の写真だろうか。まさにヴィジュアル系ロックギタリスト!!
「タカミ~ッ!」
と呼びたくなる。
Vol.2への期待
それにしても、昔の洋楽の邦題ってスゴイな。
サンタナ “Oye Como Va”(1974)→「ぼくのリズムを聞いとくれ」
ピンク・フロイド “One of These Days”(1977)→「吹けよ風、呼べよ嵐」
ザ・トロッグズ “I Can't Control Myself”(1977)→「ボクは危機一髪」
それはさておき。
この本にゴダイゴを求めると物足りない。しかしミッキーとアサノさんが各曲のどこに焦点をあてているのか、そして各アーティストとの関わりを垣間見ることができるので、楽しめる。
まぁ、欲を言えば、解説にはアーティストと曲紹介に加えて、音楽的な解説がもっとあると良かったな。ジャケット写真が原寸大なので、解説のスペースがどうしても狭くなって文字数も制限されてしまうのだろうけれど。
そして、ゴダイゴファンとして理想を言えば、サブタイトル(キャッチコピーか?)どおりに「ゴールデンカップス・エム・ゴダイゴ」に加えて、タケソロ、Tommyソロ、ミッキー関係、もちろんチャコヘルなどのジャケット総カタログだったら良かったと思う。もちろん本人たちの解説付きで。
そういうコンセプトでVol.2が出ると、とってもとってもとってもうれしい。
コメント
ゴダイゴの歴史について、明らかな誤りが記載されているのを見て、最初は私も校正力の不足だなぁ(^_^;)と思いました。
次に、視点を変えて、この文章の著者は誰なんだろう?と考えました。
そして、この書籍の発行の真の目的は何だろう?と考えました。
ヒントは奥付けにあると思うのですが、この書籍を企画した方は浅野孝已さんのマネージャーさんで、私の知らない方々のお名前も書いてあるから、そこから推測してみると…
この書籍の意義は、浅野孝已さんの還暦を記念して、TAGCがゴダイゴのDNAを分析すると同時に、浅野さんと同世代の洋楽ファンに懐かしい輸入音楽を思い出して貰い、日本のポップスのルーツを分析する資料をも提供することだと、私は考えました。
浅野さんの音楽との出会いが語られているのが、私には最も興味深いのですが、ゴダイゴのファンではない主に男性の方々に、昔の洋楽を思い出して貰い、改めて音源を聞きたくなるようなモチベーションを生み、音源をネットで購入して貰おうというのが、この書籍の大きな目的ではないかしら?と推測しました。
もし、そうだとしたら、ゴダイゴの歴史の記載ミスなどは、彼らにとって枝葉末節なんだろうなぁと思えてしまったのです(^_^;)。
読み返しはしたのですが、時間が足りなくて、私のこの文章にも、校正ミスがあるかも知れません。もし間違っていたら、ごめんなさい。m(._.)m
Bluebellさん
コメントありがとうございます。
ザ・ゴールデン・カップス再結成ライブのサポートにたとえSteveが入っていようと、ミッキーがカップスとゴダイゴを混同することはありえないと私は思います。
1999年の記述は、編集の際に必要な情報を不注意で削除してしまったとか、そういう単純ミスからじゃないでしょうか。そして本人/側近スタッフの校閲も、誤情報のままスルーしちゃったんですね。残念ながら……。
アルタミラ・ピクチャーズが製作したゴールデン・カップスの映画のハイライトの復活ライヴは、サポートのベースがゴダイゴのスティーヴ・フォックスさんだから、もしかしたら、ミッキー吉野さんの記憶の中では、もう既に、ゴダイゴとゴールデン・カップスが混同しちゃってるのかもしれませんよ(^_^;)?
この赤い書籍と、1999年のゴダイゴのツアーの銀色のパンフレットを並べて、内容を比較してみると、面白いかもしれませんね(^_^)。
私は、1999年のミッキー吉野さんの経歴は、ジョー山中さんの「ムチャクチャ」を表現した創作物なのかも知れないなぁと、深い意味を考えて感心したり、笑いが込み上げて来たり…。
内容が可笑しいですよねぇ(^_^)!
Bluebellさん
コメントありがとうございます。
映画『ワン・モア・タイム』って、何だろうと思いながら読み飛ばしていました。(笑)
ご指摘のように『僕らのルーツはこれだ!』掲載、ミッキーのバイオグラフィーの1999年の記述は明らかな間違いですね。
映画『ワン・モア・タイム』とは、きっと『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』(2004)のことでしょう(http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD6189/)。
タイトルから分かるように、この映画はザ・ゴールデン・カップスの映画であり、ゴダイゴは無関係なはずです。それに、同映画の公開が2004年にもかかわらず、1999年に「ゴダイゴを期間限定で映画……のために再結成し、翌年まで活動」というのが不自然ですね~。(笑)
ミッキー自身がこのあたりの経緯を間違えるわけがありません。
ミッキーのオフィシャルHPのバイオグラフィー(http://godiego.co.jp/index-bio.html)によれば、2003年にカップスが再結成されています。おそらく、本来1999年ゴダイゴ期間限定再結成の次に記述されるべき2003年のカップス再結成の情報が、ゴダイゴ期間限定再結成と混在しているのではないかと思います。
これは推測ですが、編集者あたりが、ゴダイゴとカップス二つのバンドの相違を明確に把握していない/区別できていないか、もしくは単純ミスによって、二つのバンドの再結成情報が合体してしまい、結果として間違った情報が掲載されたのではないでしょうか。
この本、他にもツッコミどころがあるかもしれませんね。
今日、書籍を入手しましたよ。インド・ビールを飲みながら、書いています。
お二人の経歴を見ていて、「1999年に『ゴダイゴ』を期間限定で映画『ワン・モア・タイム』のために再結成し、翌年まで活動」とあるのに、笑ってしまいました(爆笑)!
こうして、歴史上は、女真でも女直でも良くなって行くのでしょうねぇ。
何だか、妙に納得しました…。
Bluebellさん
コメントありがとうございます。
確かにアサノさんお名前の漢字表記も、「孝已」のほか「孝巳」や「孝己」で揺れますね。
『Walk On』の直筆年賀状で「孝已」と書かれていたように記憶しています。(今出先なので、現物で確認できないのですが、22号じゃなかったかと思います。確認したら追記します。)
漢字表記の揺れは、単なる誤植か、変換ミスかもしれません。
それとも、芸名として意図的にご本人が変えていたのかも。……それはないかな(笑)
『僕らのルーツはこれだ!』では、「孝已」になっています。
浅野さんのお名前も、孝巳さんだったり、孝已さんだったり、孝己さんだったりしますよね?
浅野さんのお名前が変化するのを見ると、学生時代に古典で「巳・已・己」の違いを習ったことを思い出します。