“Monkey Magic” その6(最終回)

Hans / Pixabay

“Monkey Magic”シリーズ。
“Monkey Magic” その1
“Monkey Magic” その2
“Monkey Magic” その3
“Monkey Magic” その4
“Monkey Magic” その5

前回“Monkey Magic”の歌い出しの巧妙さに今さらながら感動し、ふるふるうち震えていたら、ふと、タケが面白い発言をしたことを思い出した。

スポンサーリンク

『それ行け! 民謡うた祭り 埼玉県加須市編』

それは公開録画番組『それ行け! 民謡うた祭り 埼玉県加須市編』(NHK、2012年1月28日(土)、15:00-15:49)でのこと。

なんで民謡番組に? というソボクな疑問はさておき、タケはこの番組のトークコーナーに登場。このコーナーは、なぜかシチュエーションが設定されていて、場面は伍代夏子さん扮する女将が切り盛りする「伍代商店」の店先。ここで伍代女将とゲストがトークするという、いわば伍代夏子さん版の『徹子の部屋』。そこにタケがトーク・ゲストとして出演した。(決して民謡歌手としてではない)

小芝居コーナー

伍代女将が店(舞台上)に現れ、ふと店先に置き忘れられた大判のフォルダに気付いて開く。中は童謡の楽譜集。伍代女将が「誰のかしら?」と小首をかしげているとタケが現れる。

タケ「このへんに楽譜とか落ちていませんでしたか? ものすごい大事な……」
伍代「これですか?」
タケ「あ、それです!!(嬉)」

と、なんと小芝居! (^▽^)

二人は挨拶を交わすと―

タケ「ボクがゴダイゴさんで、(伍代女将を指して)伍代さんですよね。親戚みたいですね」

と、ダジャレが飛ぶ。くだらない。実にくだらないダジャレだ。なのに、図らずもじ~んとしてしまった。「ボクがゴダイゴ……」ってフレーズに……。ううっ、こんな日がくるとは……。(ノД`)

♪どんと鳴った花火だ♪

とりあえず鼻水をかんで「伍代商店」コントの続きを見てみよう。

伍代「タケカワさんにとって、どうしてこの童謡の楽譜が大切なんですか?」
タケ「今の楽譜に載っているのは『花火』とか、『たなばたさま』とかを作曲した下総皖一(しもふさ・かんいち)さんという作曲家のものを集めた楽譜なんですけども……。実は僕の名前の行秀と名付けてくれたのが下総皖一先生なんですよ。僕の父親が、下総先生が芸大で教授をなさっているときに作曲を習ってまして、その縁で名前をつけていただいたんです。

名前だけじゃなくて、作曲のスタイルも沢山ヒントをいただいたんです。たとえば『花火』の、♪どんと鳴った 花火だ きれいだな~♪なんていうのがあるじゃないですか。あれが普通にたとえば僕なんかが書こうと思うと、♪どんと鳴った 花火だ きれいだな♪って、やっちゃいそうなんですよね、それが、♪どんと鳴った なびだ♪って、あんな短い間にピークが二回くるんですよ。♪どん♪がいっちゃったら、もうそれでいいじゃないかって、思うんですけど、そうじゃなくて、♪どんと鳴った なびだ♪って。これがですね、すごいなと思ったんですよね」

やっぱり作曲家だけあって、童謡であろうと意識を向けるところが全然違うな。タケが言う♪どんと鳴った なびだ♪の、短いフレーズの間に二回ピークを置くという手法は、“Monkey Magic”の♪Born from an egg on a…♪に応用されているんじゃないだろうか。てなことを考えると、♪mountain top♪だってそう聞こえてくる。

この番組の収録時にタケは“Monkey Magic”と「花火」の関係について解説したのかもしれないな。しかし観客がことごとくキョトン(・・;)で、がっつりNHKがカット?いや、話が長すぎてカットか。それとも民謡を聴きに来ている客層に合わないと思って話さなかったのか。タケ自身が二曲の共通性に気付いていないのか。ともあれ、ここで展開した「“Monkey Magic”・どんと鳴った花火仮説」は、あくまでも筆者の妄想なのだが、あながち大ハズレでもないような気がする。

geralt / Pixabay

ついでに言えば♪どんと鳴った花火だ きれいだな~♪という歌詞を、♪Born from an egg on a mountain top♪のメロディに乗せると、あ~ら不思議、歌えちゃったりする。逆も然り。面白~い! o(^-^)o

子どもにウケるワケ

それはさておき。

筆者もすっかり忘れていたが、“Monkey Magic”がなぜ今の子どもにもウケるのか/当時ウケたのか、というギモンが今回のシリーズ後半の出発点だった。これまで見てきたように“Monkey Magic”にはサビの♪Monkey Magic♪の繰り返しで「アイアイ」が、そして♪Born from an egg on a mountain top♪という歌い出しに「花火」という長年歌い継がれてきた童謡が持つ特徴が見られる。だから“Monkey Magic”を聞いた者は、そのメロディが持つ童謡的要素を無意識に感じ取り、この曲に親近感を覚えるのではないだろうか。だとすれば、“Monkey Magic”が言葉と世代の壁を越えて子どもにウケるのは当然である。

“Monkey Magic”を一世を風靡した懐メロではなく恒久的にリアルタイムな音楽にするためには、まずこの曲を童謡化し、子どもたちに広く普及させ、長い時間を掛けて世代が変わろうと誰でもが口ずさめる歌にすればよいのではないか。それがゴダイゴの音楽を永遠化するための第一歩になるかもしれない。

♪じゃんじゃん♪
“Monkey Magic”シリーズおわり。

ゴダイゴ
スポンサーリンク
tiara _remixをフォローする

コメント

  1. 青空さん
    コメントありがとうございます。
    タケがどれくらいの童謡を把握し、分析しているのかは私には分かりません。名付け親の下総皖一さんの作品だから、より強く意識していたのかもしれません。
    『それ行け! 民謡うた祭り』でのタケの話をまとめると、ゴダイゴ解散後のタケは作曲家として活動していたものの、作った曲が売れなければ忘れ去られる商業音楽に思うところがあったようです。それで後生に残る曲の例として童謡を挙げていました。

  2. 童謡に造詣が深かったのですか。了解です。
    タケデモシリーズにブリタニカ教材のデモがこれでもかと並んでいて、そのすべてが、アメリカに昔からある童謡だよーと言われればそうなんだーと信じてしまいそうなナチュラルな出来栄えですよね。
    あれを聴いていると、いいなぁ、私も子供の頃にこの教材で英語を勉強していたかったなぁ、なんて思ったりしていましたが・・・。
    タケって童謡に一家言あったわけですね。納得です。

  3. Bluebellさん
    過分なお言葉、ありがとうございます。
    まとめてレスで申し訳ないです。<(_ _)>
    ゴダイゴが子どもにウケちゃったのは、当事者たちにとっては意外だったでしょうね。でも、今、冷静に考えれば、“Monkey Magic”が子どもウケするのは当然だったように思います。ドラマ『西遊記』も表面的には、子ども向け番組のような印象ですしね。
    もし別の歌詞がタケの元に届いていたら、善し悪しは別として、曲調は変わっていたでしょうし、ファン層も異なり、タケ自身が弘道お兄さんにならずに済んだでしょう。もしそうなっていたら、ゴダイゴは今、どうなっていただろうか、と考えることがあります。

  4. モンキーマジックと花火に関する考察、素晴らしいです(^^)!
    シリーズを読み終わって、タケカワユキヒデさんは、幼い頃、おそらく家庭か幼稚園で童謡をしっかり聞いていて、ビートルズより前に、童謡の音楽が身に付いていたのだろうなぁと思いました。
    だから、モンキーマジックのヒット直後の宮崎市での春のゴダイゴのコンサートで、幼児の音感教育体操を客席にも一緒にさせるタケカワさんが、NHKの「お母さんといっしょ」の体操のお兄さんに見えたのですね。納得です(^^)。
    そして、ゴダイゴが「ロック童謡」路線でブレークしたのも偶然ではなくて、武川行秀さんというお名前の持つパワーの成せる業だったのかも知れませんね。

  5. >Yummieさん
    コメントありがとうございます。
    『Walk On 32号』(1982年9・10月号)「はみだしQ&A」で、名付け親としてタケは下総皖一さんの名前を挙げています。“Monkey Magic”発表よりずっと後の号ですが、タケは作曲家として下総さんを意識していただろうと思っています。
    藤枝駅広場でも、子どもたちが“Monkey Magic”を楽しそうに歌ったようですね。なぜ “Monkey Magic”が子どもたちに受け入れられるのか、不思議です。(*^^*)

  6. >メグメグさん
    ねぎらいのお言葉、ありがとうございます。
    いつものように、妄想とかを芋づる式に並べただけです。/(^^;)
    それより、ゴダイゴがフォークに分類されているのですって???
    どっひゃーーっ!!(゜ロ゜屮)屮
    かぐや姫→ゴダイゴ→さだまさし、みたいな並びでしょうか。
    世の中にはびっくりすることがあるものですね。

  7. ♪どーんとなった、はーなびっ♪・・・すごい発見です!!
    意図して出来たものか、潜在的に記憶されていた動揺が出てきたものか判らないけれど、なんかすごい。
    そういえばタケさんが以前「ハイホー」のようなシンプルでエンドレスになってしまう曲が好き、みたいなことを言ってました。MonkeyMagicもある意味エンドレスだし。
    少し前、藤枝駅広場で行われたミニライブに行ってきました。ライブ前にキッズダンサーのパフォーマンスがあったので子供たちがたくさんいて、MonkeyMagicの歌合戦で(この曲まで歌合戦化されるとは!)そりゃあもう子供たちの声が大きいこと!てか、叫びに近いよな。
    しつこいくらいのサビなので覚えやすいんだろうけど、まるで聴きなれた曲のように歌うのでびっくりでした。
    でも蜘蛛の巣?を出してくれたら、子供たちはもっと忘れられない曲になるのにー、なんて思いました。
    すみません、長くなってしまいました。

  8. お疲れ様でした。
    ここまで掘り下げるとは、頭が下がります。
    レンタルショップでは、ゴダイゴってフォークに分類されてるって知ってました?
    何か違うよな~って思いながら、仕事してます。
    あんなにイケテルバンドなのに、英語でおしゃれなのに、なぜにフォークかな~???

error:
タイトルとURLをコピーしました