『タケカワユキヒデ/ホームレコーディング・デモ ARCHIVE SERIES VOL. 1』
“Water She Wore” (「雨に踊る少女」)
1曲目
『タケデモ01』の1曲目が“Water She Wore”なのは意外だった。
なぜなら中学生の頃、この曲はあまり好きじゃなかったから。
なんかジメジメした感じで。
雨の歌だから、あたりまえか。
でも、今聴くと、いいなぁ……。
すごいピュアで-。
雨がふっている
やっぱり年齢によって感じ方って変わるのかな。
雨の雫が流れ落ちる窓ガラス。
壁に背をもたれて、彼はがらんとあいた空間を眺める。
今はいない彼女との再会を想いながら。
彼女と初めて出会った日、雨が降ってた……。
そんな情景が見える。
『タケデモ01』には、歌詞が掲載されてないから、最初のところ(いわゆるAメロ?)は、何を言ってるのかよく分からない。
だから、公式版とほとんど同じサビしか聞き取れないけど、公式版と重なる情景をイメージしながら聴くと、すごくいい。詞も曲もロマンティックで素敵だ。
タケも解説で「17才のときに書いた曲の中でも最高の作品の一つと思っている。」(n. pag.)と書いている。
これが『タケデモ』シリーズの第1曲目だなんて、よっぽど思い入れがあるのだろうか。てっきり“Happiness”あたりかと-。
兄弟共演
楽器構成は、タケが演奏するギター+タケのすぐ上のお兄様の武川光男氏のドラム。
『タケデモ』では、この光男氏(←この人、あっ、この方、スゴイ!)が大活躍。
……しかし、浦和のタケカワ家はどういう構造になっているのだろう。
だって、ドラムって相当大きな音が出るはず。光男氏は結構本気で叩いている。浦和のタケカワ家は、野中の一軒家か、はたまた広大な敷地を持つ大邸宅か。
“Water She Wore”の『タケデモ』版は、楽器とボーカルの音量バランスが良くない。
ボーカルが遠慮がち、17歳のわりには情感があると言ってもいいんだけど、なのに、楽器ガッツリ。
当時のレコーディング機材とか、マイクの本数とか位置とかが関係するんだろうけど、ボーカルが遠慮がちに聞こえるのは、ご近所への配慮から……?
なんて、想像したりして……。
そうだ!
お父様の武川寛海氏は、音大の教授でベートーベンの評論家でいらしたし、ご家族の皆様が楽器を演奏されるので、防音の音楽室があるんだろうな、きっと。
ハイソサエティだなぁ……。
"water"の成長
そうそう、『タケデモ』版“Water She Wore”を聴いて気付いたのは、17歳(高校2年生、1969年?)のタケの“water”の発音が初々しくて、超ラブリ~。(“clothes”もだけど)
“water”の発音は日本人には意外に難しい。アメリカ旅行で、まず“water”が通じないという話はよくある。
タケの“water”の変遷を追ってみよう。
1975年
1975年『走り去るロマン』バージョンでは、<ちょっと>成長した“water”を聴くことができる。“w”の音が英語らしくなってるけど、発展途上って感じ。
タケのHPで「少し、英語の発音がかたいかなと、思う」と言っているのは、こういうところだろうか。
でも、今ならもっと“water”が上手くなってるんじゃないかな。
1980年
と思って、他の曲を探してみる。
おおっ、いい曲があった!
“Images of Mystery”
曲は違うけど、ここで1980年、つまり『走り去るロマン』から5年後の“water”が聴ける。
おおっ、<すごく>成長してる!
多分タケがソロからゴダイゴになって、周りのTommyやSteve とのコミュニケーションや、外国へ出たことなんかも関係して、発音が変わっていった結果なんだろうと思う。
これって……?
ところで、“Water She Wore”って……、
情景を思い浮かべながら、<冷静に>聴くと……、
彼女は衣服を何も着ていなかった。
雨の雫だけを身にまとって踊りまわった。
……まぁ、つまりこれって詩的に書かれてるけど、いわゆる「まっぱ」?
“Water She Wore”を聴きながらこの言葉が浮かんだとき、ロマンティシズムのカケラもない自分に気づいた。
それでも、ミッキーのピアノだけでしっとり聴いてみたいな、“Water She Wore”。
コメント