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「タケデモ07」が再照射する作曲家ミッキー吉野

AliceKeyStudio / Pixabay

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はじめに

あらかじめ断っておくが、筆者に音楽の専門知識はない。
したがって、すべて音楽的/科学的根拠のない筆者の主観で論ずる。

また本稿は、ミッキー吉野氏、タケカワユキヒデ氏が作曲した作品について述べるが、筆者は両氏およびゴダイゴの長年のファン、というよりも、もはや冷静さを失うほどに<心酔>している人間であることを前提に読み進めて頂けるとありがたい。

本稿は、「タケカワユキヒデ ホームレコーディングデモ アーカイブシリーズ Vol.7」(Home Recording Demo Archive Series vol.7, 以下、「タケデモ07」と略す)が、ゴダイゴの作曲家としてのミッキー吉野氏を再照射するツールであることを、“A Fool”と “Steppin’ into Your World”に焦点を当てて論ずる。

第1章 チーム内コンペによる選曲

「タケデモ07」は、アルバム「西遊記」に向けてタケカワユキヒデ氏が作曲した作品(以下タケメロと略す)のデモを収録する一枚である。

「タケデモ07」に添付されている解説によれば、「当時タケカワ/ミッキー両氏の「チーム内コンペ」により、収録楽曲の取捨選択が行なわれていた」(n. pag.)。

つまり、このCDに収録されている多くの曲は、「西遊記」に採用されたタケメロ(“Gandhara”、 “Monkey Magic”他)と、不採用、所謂「ボツ」作品(“A Fool”、 “Steppin’ into Your World”、 “Dragons and Demons”、 “Flying”他)の二種類に分かれる。

つまり、タケメロがボツということは、アルバム「西遊記」に収録されているのは、ミッキー吉野氏が作曲したメロディ(以下、「ミッキーメロ」と略す)だということである。

タケメロの代表作である“Gandhara” や“Monkey Magic”が、「西遊記」で激変していることには驚かされる。

論旨から逸れるが、どうしても言いたいので“Celebration”について一言加える。
“Celebration”はタケメロが採用されているが、「タケデモ07」の同曲は、眠気も覚める「西遊記」版とはかなり異なる。

このデモを聴くと、三蔵法師一行にやんわりと言ってあげたくなる。

「キミらの笑う声がヒマラヤまで響くのは、ちょっと難しいかもしれないよ」と-。

三蔵法師一行の笑う声をヒマラヤまで響かせたのは、ミッキーのアレンジであろう。

話を元に戻そう。
「タケデモ07」収録曲で、「西遊記」に採用されたメロディ自体は、ほぼそのまま(“Gandhara“は、サビのみが「西遊記」と同じ)なので、最初の驚きはすぐに緩和される。しかし、ボツになったタケメロを聴くことで、「西遊記」に収録されたミッキーメロが、アルバム「西遊記」の世界観を広げることに、いかに貢献しているのかが明白になる。

第2章 “A Fool”と“Steppin’ into Your World”における比較

以下、“A Fool”と“Steppin’ into Your World”の二作品に注目し、タケメロとミッキーメロを比較する。

第一に“A Fool”について述べる。
“A Fool”は猪八戒のテーマである。「西遊記」に収録されたミッキーメロでは、言葉どおりに「ポップ」なイントロ+メロディや、タケ&スティーブのコミカルな掛け合いが印象的である。

一方タケメロの”A Fool”は、なんということか、極めて<美しい>。じ~んと心に染みる。

猪八戒のイメージは、西田敏行/左とん平から「ロンバケ」時代のキムタクへ変貌する。
「ロンバケ」時代のキムタク演ずる<超男前>猪八戒は、心の底から信じた女性に裏切られ、深く傷つき、伏し目がちにシャンゼリゼ通りを歩く―。
苦悩する猪八戒は、人間として、いや豚として立ち直ることを諦め、崖から白波の立つドーバー海峡へ身を投じる―。

この美しいタケメロ“A Fool”を聴いていると、繊細な心を持つ猪八戒に、胸が締め付けられる。(若干大袈裟)
しかし、タケ本人もイメージが違うのは当初から分かっていたようである。彼自身による解説では、「やけくそになってこういう曲を書いたのだろうか」と記している(n. pag.)。

ボツになったタケの「やけくそ」“A Fool”は必聴である。もちろん、駄作ではない。名曲と言っていいだろう。
ただ、”A Fool”=猪八戒のテーマというイメージに合わなかっただけである。
「やけくそ」になると、このような美しい曲になってしまうのがタケらしいところである。

第3章 “Steppin’ into Your World”における比較

第二に“Steppin’ into Your World”について述べたい。

タケメロの“Steppin’ into Your World”はミッキーメロに比べて、一言で言えば躍動感に欠ける。
分かりやすく言えば、曲全体を包括するタイトルであるSteppin’ into……の「‘-ppin’ into’感」が不足している。つまり「‘-ppin’ into’感」とは、題名を正式に綴るならば“Stepping into Your World”であるはずなのに、なぜ“Steppin’ into-”に変化しているのか、ということに関わる。

「タケデモ07」における“Steppin’ into Your World”は、この‘-ppin’ into’が内包する語感、すなわちニュアンスが具現化されていない。(読んでいる方は、ついて来れているだろうか。そもそも、ここまで読んでいるのかさえ不安だ。)

“Steppin’ into Your World”は、2011年現在、四種類聴くことができる。「タケデモ07」版、「西遊記」版、Magic Capsule版、「中国后醍醐」版である。そして次第に「‘-ppin’ into’感」が増していく。

この次第に増していく「‘-ppin’ into’感」を、図式で表わせば以下の通りである。

「タケデモ07」<「西遊記」<Magic Capsule<「中国后醍醐」
「タケデモ07」版、「西遊記」版、Magic Capsule版、「中国后醍醐」版の四種類を聴き比べてみてほしい。筆者が主張する「‘-ppin’ into’感」を間違いなく体感できる。

おわりに

以上のように、”A Fool” と”Steppin’ into Your World”の二作品を見るだけでも、ミッキーメロのセンスが顕著に表われている。

「タケデモ07」を聴くと、必ず「西遊記」を聴いて検証したくなる。
「タケデモ07」は、ミッキー吉野氏をアレンジャーとしてよりも、むしろ作曲家としての姿を再照射する。

その意味でも、「タケデモ07」は、聴く意味がある一枚である。

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