おっ、この衣装は!?-その3(最終回)-

なぜか続きモノです。
すごーくお時間のある方は↓からどうぞ。
「おっ、この衣装は!?-その1-」
「おっ、この衣装は!?-その2-」

前回、前々回とゴダイゴの衣装を振り返ってきた。

ゴダイゴはロックバンドなのに、音楽だけでなく衣装も観客にアピールする要素のひとつとして考えてきたのだろう。同時代のバンドで、たとえば……ツイストとかサザンオールスターズとかで、お揃いの(色違いも含めて)衣装を着たことがあったのだろうか……。世良さんはカッコ良くて好きだったけど、ツイストのファンというわけでもないからパッと思い出せないや。サザンは……そもそもロックバンドじゃないな。

 

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衣装戦略

ミッキーは「『モンキー・マジック』ぐらいまで、ずっと衣装まで考えていた」と述べる(『日本ロック大系(下)』p.460)。

やっぱりそうか。そういう点も、ゴダイゴが「オレらの音楽を聴けっ!」的な(←なんて分かり難い比喩なんだろう……orz)、バンドと違うところなのだ。

『Walk On』(52号 1983年2-4月号)の一コーナーで、タケが面白いことを言っている。コーナーの趣旨は、思い出のコンサートを語るというもの。ここでタケが衣装について触れているので引用してみよう。

タケ ……最初にキャー!てあったのが、確か“ファッションコンサート”の時かな。おかしいんだよ。ファッションショーと一緒になってるコンサート(笑)。その時にリーバイスなんかが僕らのために作ってくれた衣裳が何着かあるんだけど、それがビューティフルネーム、モンキーマジックの衣裳なの。ミッキーが『これとっとこうぜ!』って言ったんだぁ。信じられない。それを使ってしまったという。(n.pag. 「ああ!懐かしの……チケット特集 (メンバー編)」)

“ファッションコンサート”とは、タケの発言から推察すると、ブレイク直前あたりに行なわれたコンサートのようだ。だとすれば、タケの発言は、前述のミッキー発言の裏付けとなる。あの赤いチャイナ服や“Beautiful Name”の白いスタンドカラーの衣装が、タケの言うファッションコンサートで作った衣装なのかもしれない。

ミッキーの「『モンキー・マジック』ぐらいまで……」という発言は、背景にファッションコンサートがあるのだろう。となると“Gandhara”でタケが着ていたスパンコールの黒い衣装も、他のメンバーの衣装もそうなのだろうか。

考えてみれば“Gandhara”の衣装は、解散の瀬戸際にいるバンドにしては凝っているようにも思われる。タケの衣装もいくつかバリエーション(胸の模様が赤いバラだったりチューリップだったり)があるようだが、あれらもまた、全部ではないにせよ「ファッションコンサート」で作ったものかもしれない(参照DVD BOX Disc8 “Gandhara” 1978年12月24日)。

【2012/04/25追記】 “Gandhara”の衣装の真相は、4/11のABCDE気持さんによるコメント「ファッションコンサートと各衣装に関する考察(笑)」をご参照ください。(ABCDE気持さん、情報ありがとうございました。

ツッコミどころ満載

衣装お揃い時代以外では、やはりタケがツッコミどころ満載だ。『タッタ君現わる』で、タケは自分の服装のセンスのなさを渋々ながら認めている。そして「特に、ステージ上で着るものとなると、その評判の悪かったこと、おびただしい」と言及する(p.198)。

DVD BOXでは、そのタケのセンスが楽しめる。筆者はINTERMISSION LIVE(1985、DVD BOX Disc2)を観る度に、白い上着を脱いだ後(45:32-“Beautiful Name”以降)のタケの衣装の柄には疑問を投じてきた。テレビ画面に向かって孤独にだけれども。/(^^;)

そしてDVD BOX Disc8の“Dead End~Love, Flowers, Prophecy”(『レッツゴーヤング』1978年1月22日放送)の「チョッキ」(「ベスト(“vest”だからヴェストか?)」ではなく、あえて「チョッキ」と言おう)もツッコミ甲斐がある。キルティングの身ごろに袖口と襟にファーが施してある。まるでマタギだ。

あれっ、よくよく見るとマタギチョッキの下は黒地に銀のキラキラ格子柄ブラウス+共布の細いチョーカー!? タケのチョーカーは初めて見た! うーん、ワイルド~ 演奏しているのは“Dead End~”だから曲はもちろんのこと、パフォーマンスもいい。なのに、なのにこのマタギチョッキは何を思った結果なのだろうか。(ミッキーのクリスマス・キャンドルのようなワインレッドのガウンもツッコミどころではある)

さて、極めつけは「ロックの嫌いな子猫ちゃん」(“Cat with No Ears”、『レッツゴーヤング』1977年4月17日放送)である。タケはピンク地にギザギザ模様が入っているシャツを着ている。襟合わせが右上だから女性用だ。これはどう見ても誰かからのもらい物だろう。もしかしたらお母様が若い頃に着ていた服のお下がりかとまで思わせる。

そういえば、タケが昔、お友達からよく洋服を貰っていたという話が『タッタ君現わる』に載っている。そしてタケのお友達のお姉さんが「変わった服を持っていて、いつも何かくれる」ので、タケは「足しげく通っては、不思議な洋服をもらってきた」という(p.199)。タケが着ているシャツはもしかしたら、そのもらい物のひとつとも考えられる。この一見サイケデリック風とも言えるシャツは、当時のタケのラブリーさと共に永遠に語り継がれるに違いない。

30年以上経って

……ふと、我に返ると、あれから30年以上経っている。

ゴダイゴは、もう二度とお揃いの衣装を着ることはないだろう。衣装という観点からも元のロックバンドに戻ったのだ。となるとステージ衣装はメンバーそれぞれのセンスが反映される。それでも、タケはもう、ツッコミどころ満載の衣装に身を包むことはないだろう。ここ最近のタケを見ると、ジャケットにネクタイという無難な衣装に落ち着いている。筆者が目を離している間に、タケは成長したのだ。

時を重ねて、人が成長する-
それは自然なことで、本来なら喜ばしい

だけど、なんだか、……とても淋しい

「おっ、この衣装は!?」おわり。

ゴダイゴ
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コメント

  1. こんにちは、私も当時のゴダイゴの衣装は気になっていました!
    当時はスターの衣装は結構話題になりましたよね
    当時中学生だった私にはどれも素敵に見えました。主に白いパンツで色違いが多かったですね、大人になってDVDを見て(魔法のあかり)の衣装があまりにもセンセーショナルなのでググったらこのページにたどり着き読者になりました。
    Beautiful Name はうる星やつらの面倒修太郎ではなく、将校だったんですね!Money Magicの衣装は楊貴妃のてまはなかったのですね!
    私はチャーさんとジョイントのCelebration のタケさんの衣装が好きです。そして、インターミッションライブでの上着を脱いだ後のタケさんの衣装は…私も(オバサンみたい) と思いました(笑) 
    Jetさんの漫画でゴダイゴの衣装は手作りだ、みたいなことが書かれてましたね、あのオバサン?衣装もオーダーメイドなんでしようかね?
    最後に(ゴダイゴパート1)本には冒頭にメンバーのカラー写真がありますね、そのタケさんの衣装?チュニックとベルト…やはり女物でしようね?

    • トラまるさん

      コメントありがとうございます。
      拙文を楽しんでいただけたようでうれしいです。

      『タケカワユキヒデ マネージャー物語』(p.92)によれば、オーダーで作っていた衣装は、シングル用らしいですね。きっとお揃いとか色違い、デザイン違い的な衣装がそうでしょう。
      当時、衣装をメンバー自身でクリーニングに出していたというのが面白いですね。この本の中で衣装の話をしているとは、なんという偶然!

      後年の統一感を欠いた衣装は、それぞれ自分で選んでたんじゃないかなと思います。

  2. ABCDE気持さん
    詳細な情報ありがとうございます。
    “Gandhara”の衣装は「楊貴妃」で作られたものだったのですね。なるほど。
    リーバイスってカジュアルファッションのイメージなので、“Monkey Magic”のチャイナ服や“Beautiful Name”の衣装と言われても、なんとなくイメージが合わないような気がします。
    “Beautiful Name”の衣装は、将校風だったのですか。へー。私はファッション用語にまったく疎いのですが、あれを「ミリタリー・ルック」と呼んじゃうんですね(^^ )。
    実を言うと、あれは当時から学ランみたいだと思っていました。そういえば学生服の原型は軍服でしたっけね。本末転倒でした。

  3. まず「ファッションコンサート」ですが、1979年1月17日(水)に東京・銀座中央会館
    (現:銀座ブロッサム)にて開催されたものらしいです。それを前提に検証すると、
    ・1月15日→「NTV紅白歌のベストテン」出演、西遊記コスプレで出演
    ・1月17日→ファッションコンサート開催
    ・1月29日→「夜のヒットスタジオ」出演、赤いチャイナ服(一部で西遊記コスプレ)着用
    ・2月5日→「NTV紅白歌のベストテン」出演、赤いチャイナ服着用
    ・2月15日以降→「ザ・ベストテン」10位内に「Monkey Magic」が入り赤いチャイナ服着用
    という時系列ができるわけです。
    では「ガンダーラ」のTV出演時に着用していた衣装の経緯は?というところで次の資料。
    「平凡 1979年7月号」掲載の「GODIEGO シークレット情報」より一部抜粋です。
    ●サウンドだけでなくコスチュームでも勝負
    …2人の女性デザイナーと一人の男性デザイナーが作っているが、「ガンダーラ」「モンキー・
    マジック」の衣装は中華風。そのうち一着は横浜中華街にあるミッキーの知り合いのブティック
    「楊貴妃」で作った。衣装をぬったのは、メンバーがよく行く中華料理屋「香港飯店」で
    働いている人。…(一部中略)…リバイス(原文ママ)のファッション・コンサートからは
    ミリタリー・ルックも新しく仲間入り。 (引用・抜粋ここまで)
    前述の通り「Monkey Magic」の赤チャイナ服がファッションコンサートで入手したものと
    考えると、「楊貴妃で作った一着」が、「ガンダーラ」用の衣装と推測できます。
    また「ミリタリー・ルックも新しく仲間入り」の一文に関しては「そんな迷彩服みたいな衣装、
    あったっけ?」と一瞬思いますが、陸軍ではなく海軍の将校服、しかも真っ白の将校服。それが
    「ビューティフル・ネーム」で着用していたコスチュームだと思えば合点がいきますね。

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