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書評

(以下、敬称略)
ゴダイゴのボーカル、タケカワユキヒデが家族とゴダイゴの思い出について語る一冊。夫婦愛、実子・養女との親子愛、ひいては妻の実家の家族への愛までもが詳細に描かれる。

タケカワは2012年11月15日に開催された渋谷公会堂でのコンサートで、本書の企画が4年前からあったことを明かす。しかしタケカワが出版社と「喧嘩」したため、企画は頓挫する。「喧嘩」の原因については明らかにされていないが、極めて個人的な内容、語句の用法、文体などについて編集者との意見の対立があったのであろうか。吉田豪によれば、かつてタケカワは小説を出版した際、編集者に一字一句変えさせなかったという(「サウンドパティスリー」『小島慶子キラ☆キラ』TBS、2010年12月16日(木)放送)。「喧嘩」の原因は、そのようなことかもしれない。

本書は2012年11月15日、タケカワが所属する事務所t-timeより出版。本筋となる彼の子どもたちの名前の由来には、タケカワ夫妻独自のこだわりがあり、それぞれ興味深い部分もある。一方、彼の私生活に興味のないゴダイゴの音楽ファンをも満足させるべく、映画『キタキツネ物語』のサントラや、「ガンダーラ」、「モンキー・マジック」などの作曲にまつわる裏話も絡む。以上から内容の充実度は高いといえよう。

だがその反面、出版社を介さずに出版する書籍とは、かくあるものかと考えさせられる点もある。掲載情報に確認不足があるのは否めない。たとえば『キタキツネ物語』でレイラの歌を担当した朱里エイコの名前が誤表記されている(66)。タイトルで「ビューティフルネーム」を謳いながら、他者の名前に対する敬意に欠ける点は指摘しておきたい。また映画『野性の証明』も誤字で紹介される(65-66)。このような初歩的な誤認は、編集者や校閲の目が通っていれば直ちに発見されたであろう。さらに、初期から中期のゴダイゴ作品の大多数の作詞を手がけた奈良橋陽子の来日時期も(69)、『ゴダイゴ 永遠のオデュッセイア』(徳間書店、1980)での奈良橋自身の発言と齟齬が生じている(60)。その他にも、正式な出版物として見れば、気になる点が諸処にある。

前述したように、内容は充実している。面白くなくはない。ただ文体の単調さは好みが分れるところであろう。しかしながら、全体的な筆致からおそらくタケカワの手による生原稿と同等であると推測されるので、ファンクラブの会報の延長として考えれば、誤字・誤情報等は熱狂的なファンにはご愛敬か。

2012年11月15日に開催された渋谷公会堂でのコンサートで、『タッタ君現わる 2』の出版を企画していることが、タケカワによって明かされた。かつて「MORエッセイ」(『FMレコパル』、小学館、連載期間1981年第21号-1985年第16号)の掲載ページの全部がまとめられ、タケカワの元に送られてきたことがあった。それが偶然見つかったことから『タッタ君現わる 2』の発案に至った模様である。「MORエッセイ」の著作権がタケカワの元にあるのか小学館にあるのかは不明だが、それがクリアされれば、30年越しのファンの願いが叶えられることになる。t-timeで出版実績を作ったということは、『タッタ君現わる 2』の実現は近いかもしれない。

そしてタケカワの執筆活動はさらに活発になり、彼の著作物が次々とt-timeから出版されるであろう。2012年11月17日ハーモニーホール座間でのゴダイゴコンサートで、タケカワは「続々と本をたくさん出版しようと思っている」と語る。つまり、この出版形態を維持するならば、彼の執筆原稿が、<そのまま>続々と世に出ることになる。その中には、かつて彼が執筆したような小説も含まれる可能性が大いにある。ともすれば、『タケカワユキヒデ詩集』なるものまで続々と出版されるかもしれない。想像するだけで背中がゾクゾクする。インフルエンザだろうか。

タケカワの筆致が、ファンクラブの会報レベルで終わるのか、それを超えるレベルにまで到達するのか、今後が楽しみである。

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