たびのおもいで -その4- 

すごーくお時間がある方は↓からどうぞ。
たびのおもいで -その0-
たびのおもいで -その1-
たびのおもいで -その2-
たびのおもいで -その3-


(。・・。)ノ

座席番号を呼ばれ、元気いっぱい挙手してみたものの、いやはやどうしたものか……。だって次の曲は状況的に“Celebration”しか考えられない。ここのところのアンコールは“Monkey Magic”と“Celebration”に決まっている。“Monkey Magic”はさっき滞りなく終わった。あとは“Celebration”しか残っていない。いや~、まいったな……。あのお遊戯をみんなでやろう、ってことなのかな……。わ~、つらい……。

えーと、えーと、どうしよう……。

あ、やっ、やっちゃう……??? (悶々)

(悶々)

(悶々)

席で気を失いそうなほど悩んでいると、後方から

「ご一緒させていただきます」

と、男性案内係さんの声。

この人に、ついて行こう。

そう心に決めた。筆者は狭い座席の間を通していただき、通路に出た。なのに彼は「少々お待ちくださいませ」と告げただけで、去って行った。

薄暗い通路で、筆者はひとりぼっちだった。

待ちます 待ちます ええ 待ちます
むかえに来てよ ねぇ あなた
わたし ここで待ってます ゞ(--;)

いや~、マジで?

なんだか心臓がドキドキサマーガール。
P1010077

恋かしら 恋なのかしら あの人に
しのぶおもひに うちふるえまつ

あっ、うっすら恋して歌なんか詠んでる場合じゃない。

ちょっと待て その恋心が事故のもと

Σ\(--;) 交通安全キャンペーンかっ!!

"o(-_-;*) ウゥム…“Celebration”か……。みんなでステージに一列に並んで、あのおつむぽんぽん……なんだっけ、あの踊りを全員でやっちゃうのか。それじゃまるで『8時だョ!全員集合』のエンディングみたいじゃないか。

♪エンヤーコーラヤ
ドッコイシャンシャンコーラヤッ♪

そりゃ、最近のアンコールの“Celebration”は『8時だョ!全員集合』のエンディングを彷彿とさせる。それはそれで楽しくなくはないんだけど……。

ブログで“Celebration”の振り付けが大嫌いだと散々言いまくってきたのに、実際、ステージでノリノリでやってたらすげー恥ずかしいぞ。だけど、自分を通してステージ上でやらなかったら、会場をシラけさせてしまう……。ああ、まるで踏み絵を迫られているようだ。(悶々)

その前に、ステージに上がったら、まずメンバーの誰かに挨拶するのが礼儀だろうか。

「ネットの端っこでゴダイゴを聴きながら妄想とかを書かせていただいているモノです」とかなんとか。

そんなこと言ったら、「HN教えて」「検索キーワード教えて」「今度読んでみるよ」なんて言われるかもしれない。あ、ダメだ~~! 悪口いっぱい書いちゃってる。そもそも、ステージに上がっていきなりそんなこと言ったら「頭おかしいの、この人?」と、気持ち悪がられ、変質者として退場させられるに決まってる。せっかくのチャンスがパーじゃんか。

あー、どうしよう……
o_ _)ノ彡☆ばんばん!!

「それでは参りましょう」

冷静な声が聞こえた。その声は間違いなく筆者に向けられたものだったが、女性だった。

話が違うじゃんかーっ! (#`Д´)ノノ┻┻;

と、思ったり思わなかったり。

その女性案内係さんについていこうと数歩進んだとき、非常に重要な問題を思い出した。

実は前日に行った激安美容院の1500円カットで、筆者の髪型は残念なことになっていた。こんな髪型を誰にも見られたくない。なので、美容院の帰りに100円ショップで500円の(矛盾してるけど事実)カツラを購入し、新歌舞伎座に持参していた。それなのに、こんなことになってすっかり気が動転し、座席下に置いたバッグから取り出すのを完全に忘れていた。

狭い座席の間をせっかく快く通していただいたのだから、取りに戻ることもできない。ここから手を伸ばしても届かない。ああ、よりにもよってこんな髪型の時に……。こんなことなら最初からカツラを被っとけばよかった。それより、もっとちゃんとした美容院へ行くべきだった……orz。

漆黒の闇さえ覆う筆者の内面的葛藤を知る由もなく、案内係さんはどんどん行ってしまう。

ああ、待ってぇぇ~!

ゴダイゴと一緒に新歌舞伎座のステージに立つなんて、一生に一度しかない。どうせ筆者のことなんか誰も気づくまい。そうに決まっている。ここで500円も出して買ったカツラをすっぱり諦めた。

三階席を出ると、そこに洗面所があった。

往生際の悪い筆者は、前を行く案内係さんに向かって言ってみた。

筆者:あっ、あのー、ちょっと鏡見ていいですか……?
すがるような筆者の声が聞こえているのか聞こえていないのか、筆者の頭髪問題なんか知ったこっちゃないのか、職務に忠実な女性案内係さんは、無言で階段をスタスタ下りていく……。

スタスタスタスタスタスタ……

筆者は小走りで彼女の後を追いかけた。
「たびのおもいで -その5-」へつづく。

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